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ムクの栃板

建築現場

先日、現在工事中の「A HOUSE」のリビングダイニングに置く予定のダイニングテーブルの材木を銘木屋に見に行きました。クライアントは昔、木工教室に通っていた事もあり木への愛着が深く、テーブルは是非無垢の一枚板で。というのが要望としてあり、同時にテーブルのデザインも依頼されました。

私と相談しながら選ばれたのは写真の栃(トチ)。長さ2.5m以上、巾1m、厚み8cmの一枚板です。倉庫で見たカンナで仕上げる前のその板は荒々しく、異様な迫力を持っています。これが果たして良い雰囲気のダイニングテーブルに仕上がるのか?といった感じですが、栃という木は仕上げると全く別物の表情を見せます。滑るような白い木肌、繊細で雲のような木目の上品な木に変わります。栃ほどその落差が大きな木は無いかもしれません。

上品だけれど、一癖あるこの木。正直私も基本設計時は100%使いこなせているか分からない部分があり、しっくりくるかどうか、何百回も色々な角度で確かめないといけない手強い相手です。しかし、そういう相手を前にすると何だか燃えます。こういう時の設計は木との戦いでもあり、使いこなす醍醐味が確かにあります。