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工事費について

今回はちょっと長いです。分かりやすくする為に、最初に結論を書きます。
  • ・注文住宅の平均坪単価は約85万円。価格は性能、グレードに比例し、地域によっても異なる。
  • ・特殊な条件が伴う場合、価格は上昇する。
  • ・良い設計事務所で設計・良い工務店で工事、が結局一番安い。

■坪単価について

坪単価というのは、家の工事費について、床面積一坪当たりの値段のことです。建物を建てる価格の目安として最も分かりやすいので、広く使われている基準です。(工事費=坪単価×延べ床面積)というように計算します。しかし、工事費に関する業界の常識として「広告で宣伝されている『坪単価』の比較はあてにならない」というものがあります。何故なら工事費というのは

工事費 =
【1】本体工事費 +
【2】別途工事費

という2つの項目に分けられており、一般的に使われている「坪単価」とは、(1)本体工事費だけにしか関係していないからです。しかも(1)と(2)に関して明快な区別のルールは無く、何を(2)別途工事にするか?は各業者の判断に任されているからです。ということは、表示上の坪単価は30万でも20万でも可能になります。これでは全く目安になりません。(※ 別途工事の例としては、照明器具工事、空調工事、床暖房工事、屋外電気工事、屋外給排水工事、屋外ガス配管工事、外構工事(門扉、駐車場、庭づくり等)、地盤改良工事、などがあります。これらを全て別途工事にすると、本体工事だけでは実際に住めない家しか作れません。)
坪単価という言葉を聞いた時は、含まれていない(2)別途工事費を確かめることが大切です。

ある程度、信用出来る目安としては住宅金融支援機構の2016年 フラット35利用者調査報告書による注文住宅の平均建設工事単価です。これは、建設費としての平均値を表しているので実用性があります。これによると、全国の平均坪単価85.14万がおよその目安になります。(ただし、これは木造だけでなく鉄筋コンクリート造、鉄骨造等も含まれています。)

注文住宅の平均坪単価(木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造等すべて含む)
・東京都:103.29万円
・京都府:89.10万円
・大阪府:89.10万円
・滋賀県:87.78万円
・奈良県:87.12万円
・兵庫県:85.8万円
・和歌山県:84.81万円

上記は住宅金融支援機構での2016年度調査の平均値です。物価の高騰や、お勧め出来る性能を確保するには坪単価85万円(木造の場合)以上は必要だと思います。また、建築雑誌などで紹介されている素敵な作品は、坪単価100万以上のものが多いと思われます。

※調査時での数字ですので、現在の状況と異なる場合があります。

■特殊な条件について

特殊な条件とは、特に建設工事をするに当たって障害となることが予想される敷地条件のことです。代表的なものとしては

  • ・軟弱地盤で、地盤改良工事の必要がある場合
  • ・前面道路が狭い、又は急な斜面地で、工事用のトラックや重機が入れない場合
  • ・山奥にある敷地でアクセスが大変な場合
  • ・敷地が狭く、隣家ぎりぎりで建設する場合
  • ・敷地が広くて、ライフラインを家まで繋ぐのが大変な場合
  • ・敷地が広くて、外構工事費がかさむ場合

等があります。こういう条件での工事価格は、一般的な場合に比べて上昇します。

■安く家を建てる

例えば、坪単価60万円で家が建ったとします。平均よりもずっと安い値段です。しかし、本当に安いお得な買い物だったかどうかは、設計を担当した設計事務所と工事を担当した工務店にしか分かりません。家はおよそ10000点以上の部品によって出来上がっていますので、手を抜くところも沢山あるのが現実です。安く建てたが、壁の中で手を抜かれていたり、地震で倒れたりしては意味がありません。
大切なのは、払った金額に見合うだけのしっかりとした、設計・施工を「適正な価格」でしてくれる、「信用できる設計事務所と工務店」を選ぶことです。長い目で見ると、それが結果的に安く家を建てることに繋がります。