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これからの働き方について(アトリエ系設計事務所の一事例)

その他

4月3日から当事務所で始めたリモートワークですが、5月21日に京都府の非常事態宣言が解除された時点で早7週間目、現在も継続中です。当初上手く仕事が進められるか色々心配したのですが、今のところ全く問題がありません!それどころか効率が上がっている?とさえ思うぐらい順調に仕事出来ているので、逆に驚いています。そこで、一事例としてこの短期間のトライアルについて少し考察したく思います。

納期の不明な設備機器や部材も幸い影響を受けることも無く、今後の心配が無い訳では無いですが、現場が止まることなくペースを少しスローダウンしつつも工務店やメーカーが頑張ってくれています。現場監督とのコミュニケーションも今回から始めたSNSや管理用アプリ採用のおかげで普段の電話とメール、週一回の現場定例(色々配慮した場を設定しています)以外での伝達手段が増えたので、内容決定までのスピード面で格段に改善しています。もともと優秀な工務店なので、質の面では普段通り変わりありません。

スタッフは、今まで多くの山あり谷ありの厳しい仕事を共に乗り越えてきたこともあって、特に指示を出さなくても必要な検討や作図をどんどん進めてくれて、私が不安を感じることもなく設計監理は普段通りに進んで行きます。連絡手段で使うアプリも色々試して更新しているので、お互いいつでも気になる点を聞ける体制も出来ています。そして、スケッチも含めて検討資料は全て共有サーバーに残るのも良いところです。

特に仕事の効率が上がっているように感じるのは、お互い連絡する前にしっかり準備して、問題と情報を整理してから(見せたい図面やスケッチを描いて、問題をしっかり言語化して認識に大きな齟齬が生じないようにしつつ)打ち合わせに入るようになったので、基本的なことですがテレワークの性質上それを強制されることが良い結果を生んでいると思われます。

こうして考えてみると、上記の動きが出来る工務店やスタッフなど周りの人たちの能力とモチベーションの高さに助けられていることに改めて気がつきます。これらの働き方は、メンバーの能力と感覚の共有があるレベルに達していて初めて可能になることであって、一般化は出来ないと思っています。あとは比較的余裕の有ったスケジュール上の運の良さ。今の状況については運とメンバーの皆に感謝する以外無いな、と思っています。

ただ、良いことばかりでもありません。そもそも建築設計はクリエイティブな仕事なので、直接会って時間を共有する中で生まれるアイデアや、感覚的なものの共有と教育が上手く発展していかないのではないか?と危惧しています。ですので、今後のことを考えると、全てリモートワークだけで良いデザインが出来るとは思えません。

よって、今後の働き方については(まだコロナが収束していないので1年後〜ぐらいを目処に考えています)、研修教育を短期間で行いつつより選択可能な職場環境を構築することを目指したいと思っています。具体的には、新人の1〜2年目は通年事務所勤務、しっかり研修と教育を行います。それ以降は個人の能力を鑑みて、リモートワーク在宅期間を年間4ヶ月程度設けることを考えています(学校で言う、夏休み、冬休み、春休みに該当するイメージ)。あくまで目的は違った環境での働き方を経験することで、より良い設計が行えるように常に訓練するためです。そしてより良い働き方について考え続けるために行いたいと考えています。