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DOCOMOMO

建築

国立京都国際会館メインエントランス
(設計/大谷幸夫 1966年)


DOCOMOMO Japan 2008 in Kyoto の研究発表会を公聴しに行きました。
DOCOMOMOとはDocumentation and Conservation of buildings,sites and neighbourhoods  of the Modern Movementの略で、 モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織。です(長い〜)。荒めに、簡単に説明すると、20世紀に建てられた比較的新しい近代建築でも、価値のあるものが沢山ありますからそれらを評価して保存しようと呼びかけている組織。ということになります。

研究発表はどれも興味深いものでしたが、家に帰ってから気になってきたのが「日本建築学会による保存活動に関する一考察」でした。日本建築学会がその歴史的価値を認めた近代建築について、学会が保存要望書を提出することによって、その結果保存が実現されるケースが多いそうです。しかし、より保存を促進させるには今後は歴史的価値を見いだして提言する以外に、「どう保存活用するのがベストか?」という手法について具体的に提案することが必要だと思われる。というのが結論の中の一つでした。単に保存してね。と頼むだけでは上手く行かない、という事ですね。

このことは建築の歴史的価値の調査研究だけでなく、建築設計や社会の様々な問題の解決も含まれるので、建築史研究者の扱う問題の範囲を拡張させることになり、より困難な課題になっていく気がします。しかし、価値ある保存活動への次のステップに進む為には必要なことなのだろうな、と思いました。そして、最終的には「誰が改修設計をするのか?」や、「誰が保存した建物を運営するのか?」というところまでを問題とし、それが一般の人にも浸透し、そうなって初めて意味のある保存が実現されるのではないかという気がしました。