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能舞台の感想

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新年早々に、大津市伝統芸能会館で狂言の発表会があり、本格的な能舞台に初めて立ちました。「柑子」の太郎冠者を演じたのですが、習い始めて2曲目なのでまだまだ・・という感じでした。なので今回は能舞台の感想について書こうと思います。

舞台のサイズは約3間四方を4本の柱で囲われたスペースで、柱の上には頭貫(かしらぬき)が鉢巻き状に掛けられており、斗(ます)と肘木(ひじき)を介して梁と桁が載り、その上に大屋根が載せられます。その舞台に左奥方向から約7尺5寸巾の橋掛かりが付きます。床はヒノキの無節柾目材で一枚の巾は約1尺、長さは2間以上あります。普通の建物ではまずありえない高級材料です。

観客から見て最も重要なのは、柱と頭貫で囲われた舞台の額縁となる部分です。そのプロポーションはやや鈍重な長方形なのですが、上に載った大屋根が斗と肘木によって切り離され、空中に浮いているように見せるデザイン、大きなスケール感とあいまって、非日常的な雰囲気を醸し出しています。
一方、舞台に立つ側から見ると、大屋根は影になるのであまり見えず、視界の両端に柱と貫が良く見え、そのスパンがあまりに長く柱が細いので非常に大きなスケールの空間に立っていることを感じます。特に高い位置に掛けられた貫の存在により、浮遊感を感じます。

能舞台のデザインで重要なのは、大きめのスケールと浮遊感のあるデザインによる、非日常性の演出ではないか?と今回は感じました。