京町家のリフォームについて ♯01
建築
当事務所では現在、京町家リフォームの設計に取り組んでいます。
ご依頼頂いたのは戦前に建てられた京町家で、当時の伝統的な意匠が多く残っているという非常に魅力のある建物のリフォームです。最初に拝見した際に、これは出来る限りそのまま残すことは出来ないか?という素直な気持ちが湧きました。
一般的に建築家というのは常に新しいことを提案して、新しいものを建てたりリフォームによって全く違ったものに生まれ変わらせる。といのが使命のように考えられがちです。しかし、こういう歴史が積み重ねられた建築物に対しては、建築を行った先人に敬意を払いながら、どう修理して残していくか?ということも考えます。つまり、全く逆ですが、いかにして変えないか?ということがテーマの1つになります。現代の住まいに対するに要望をまとめつつ、最小限手を入れる部分を見極めて快適に生活して頂くことを目指します。
と言っても、昔は良かったという結論でもって、単純に修理するだけにとどめる訳ではありません。現代の住まいに関する施主の基本的な要望というのは、町家だから、リフォームだから新築と特別違うか?というと、そのようなことはありません。新築であれ、リフォームであれ、今の生活スタイルに合う、快適で楽しい住空間が欲しいと思う気持ちは全く同じです。それにしっかり対応しなければ、安心して長く住むことは出来ません。
・耐震(地震に対して強いこと。)
・断熱(夏涼しく、冬暖かいこと。エコ。)
・通風(風通しが良いこと。)
・採光(室内が明るいこと。)
・遮音(隣家に音が漏れないこと。外部の騒音を遮ること。)
・安全(防犯、防火、防水など)
・素材(強度、耐久性、美観など)
・設備(照明、キッチン、浴室、洗面、トイレ、エアコン、床暖房、給湯器、換気扇など)
これら基本的な要素を考慮して、プランニングしていくのは普通の新築住宅の設計と全く同じです。
ただ、既存の建物があるので、それを前提として考えないといけないので、最初にその建物を良く知ることが大切です(物理的な面でも、文化的な面でも)。特に先人の知恵が詰まっていると考えられる伝統的な住まいの形式は、良く調べて考える価値があると思います。そして、その調査をベースにした提案が大切だと考えます。
次回は調査について書いてみたいと思います。
(♯02 につづく)