信楽・雲井窯
建築
今日は陶芸工房の見学の為、信楽へ行ってきました。
見学させて頂いたのは、陶芸家・中川一辺陶氏の「雲井窯」です。主にプロの料理人の道具とてしての鍋を作られている方です。中川氏の鍋は、日本全国の一流料亭や旅館などで使われており、京都で最も有名な超高温で炊く「すっぽん鍋」のお店の鍋も氏の作品だそうです。私の実家でも氏の黒い炊飯鍋を使っているのですが、ご飯がとても美味しく炊きあがります。見た目も、マッシブで独特な雰囲気があり、姿も絵になる鍋です。
工房は、緑豊かな地域に建っていて、明るい作業場の横長窓からは緑が眺められ、大きな吹き抜けのある木組みの空間はとても気持ちの良い空間でした。作業スペースも広く、ものを作る場所としては、ある種理想的な環境に思えました。できれば私も、こういう環境で設計図を描きたいものです。
建築的な工夫にもかなりこだわっておられて、陶器を焼くときの窯の廃熱を利用してコンクリート躯体に蓄熱し、冬季の暖房に利用したり、素材、断熱やメンテナンスにも配慮されていている点など、陶芸家というより建築家的な発想が感じられました。
聞いてみると、かなり建築がお好きなようでした。私は、陶芸については素人ですが、土で形を作り、火で焼くというシンプルで原始的でありながら、奥の深い製造工程や、色、素材感など、惹かれる点が非常に多くあります。私も建築を作る上では、常にシンプルな手法で作りたいと思いますし、色や素材感は大切にしたいと思っています。
建築と陶芸というのは、相通じるものが多くあるのではないかと、今回は強く感じました。