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ローコスト住宅

建築

最近、ローコスト住宅について考える機会が多いように思います。
ローコストであることは、求められている建築設計内容とはしばしば相反することであったりします。例えば、シックハウス対策として自然素材を多用すること、高断熱、高耐久性、バリアフリー、省エネルギーな設備、個性的な外観・内観、変形敷地や悪環境に合わせた特別な仕様等、多く存在します。これらは高額なものになりがちです。

世の中には、これらのハイスペックをとてもローコストで実現しました!というキャッチコピーの住宅が多く並んでいます。しかし、当たり前の事ですが、ローコストと言っても、そうでない住宅(安い人工素材を使い、断熱性の低いもの等)よりは確実に高くなるはずなのですが、表示価格の中には設備や、外部の配管を別途費用として計上していないものもあり、その内訳も不明瞭です。そして、現実的には不可能な数値だったりします。

「でも、何とか上手く設計して安く実現するのが建築家でしょう?」と言われるかもしれないが、我々は魔法使いではないので無理です・・・と言ってしまいたくなりますが、言い切ったら職業上駄目になる気がしますので、少なくとも前向きに考える必要があります。

そこで、唯一我々が使えるのは、「最も効率の良い方法で造る。」という技です。表面積を出来るだけ小さくするボリューム。プランニングはシンプルに。ディテールはシンプルに。断面は低く。構造のフレームは規則的に。グリッドやモジュールは既製品寸法に合わせる(一般的には910ミリ、又は3の倍数等)。安価で性能の良い既製品を使用する。素地仕上げを多用する、又は仕上げない。乾式工法を多用する。工種を限定する。等、これらの手法もまた多く存在します。ただ、この使い方を誤るとただのバラックになったり、生活を楽しめない、退屈でつまらない家になったります。

この技の組み合わせと使い方、が我々の能力にかかっている。という気がします。又、どのくらいこの技を使うのか?というレベルの設定(=最低限確保したい品質)も我々の問題でもあります。