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中庭のある家(コートハウス)について

建築

中庭型住宅は世界中の様々な地域で見ることができ、日本でも町家など古くからこの形式の住宅が存在します。

多くの人が集まる都市部において完全なプライバシーの保てる中庭型住宅というのはひとつの理想的なプランタイプです。隣人の視線を気にすることなくゆっくりくつろげ、太陽の光や緑のある景色を屋内に取り込み、通風も確保できます。

しかし、設計の内容によりデメリットが生じることもあります。
例えば中庭に面していない外壁に窓を設ける必要がないので、周囲に対して閉鎖的になり、住まい手がまわりの変化に気づきにくく鈍感になること。また、町並みに対して閉じた姿で固い表情になりやすいことなどです。

そこで私は、密集市街地で中庭型を採用する場合でも、プライバシーを保ちつつ周辺に向かって窓を開けられる位置を可能な限り探し出すこと。(空や遠くに見える山、目線が合わない近隣の屋根、近くの大きな樹木などに焦点を合わせることが多いです。)
また、道路に対して壁を建てて閉鎖せず、格子戸などを用いて穏やかに仕切ることでプライバシーを保ちながらも、庭の雰囲気を道ゆく人にも少し感じ取ってもらえるように心掛けています。

そうすることで、自分の敷地だけでなく敷地境界線を超えて環境の変化について感じ考えられるような機会が生まれ、周囲と調和のとれた建物の姿になるのではないかと考えています。