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おちゃのこさいさい 伏見稲荷店
Ochanokosaisai

おちゃのこさいさい 伏見稲荷店「おちゃのこさいさい」は「美味い・辛い・楽しい」をコンセプトとした京都産寧坂に本店を構える七味唐辛子屋です。国産の唐辛子にこだわり、多様な商品を開発し販売しています 。今回、稲荷神社総本社である伏見稲荷大社の表参道大鳥居の目の前に新店舗をオープンすることとなりました。新店舗は築120年の歴史ある京町屋の改修ですが、本来の姿を取り戻しつつ、新鮮さの表現を目指して設計に取り組みました 。

白狐と鳥居と唐辛子伏見稲荷大社の御使いとされる白狐(びゃっこ)の白色と、神秘的な景色を生み出す千本鳥居の朱色とのコントラストを参照し、店舗空間の主なエレメントを白色とし、商品である唐辛子の赤色との対比を用いてデザインすることで、伏見稲荷大社の特徴を店舗に取り込むことを試みています。赤一色で唐辛子の店らしさを表現するのではなく 、余白を使うことによって、赤を強調したいと考えました。
日中は、太陽光によって漆喰で塗り込められたファサードがより一層の白さを放ち、前庭は白玉砂利の洗い出し土間により足元から白い反射光に包まれます。
また、高さ2mの竹穂垣が両脇を囲い 、軽やかな白いファサードとは対照的に重厚な存在感を与えています 。街中の町家に使われることは希であるが、歩行者のアイキャッチとしての役割も期待しています。内部は、前庭と連続した白玉砂利の洗い出し土間 、左官の寒水研ぎ出しによる什器とカウンター、既存のまま残された漆喰壁等、それぞれ質感の異なる白色で構成しています。
それらのエレメントを京都の職人の手により実現し、経年変化により深みを増すことを狙っています。

千本唐辛子とネオンサイン伏見稲荷大社において魔除けとして塗られたとされる朱色の千本鳥居に対し 、店舗正面に古くから魔除けとして使用されていた赤色の唐辛子をディスプレイに用い (もちろん、七味唐辛子屋であるので、魔除けとしてではないですが)、千本鳥居ならぬ千本唐辛子として表現しました。日暮れには、少し妖しげな朱色のネオンサインが夜空に浮かび、日中の真っ白な姿とは表情が一変します。



所在地 / 京都市伏見区
主要用途 / 店舗
規模 / 地上2階
工事種別/内装 全面改装
設計 / A.C.E. 波多野一級建築士事務所
グラフィックデザイン/ポーラーデザイン 畔柳 尭史
施工 / 大容工務店
写真 / 沼田俊之