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おちゃのこさいさい 産寧坂本店
Ochanokosaisai

平成の大改修
美味い・辛い・楽しい「おちゃのこさいさい産寧坂本店」は「美味い・辛い・楽しい」をコンセプトにした七味唐辛子屋の本店です。商品は味と品質にこだわりを持って製造しており、その美味しさを地元京都の住人や、より多くの観光客に直感的に伝える為のパッケージデザインや新しいロゴマークについて京都工芸繊維大学・中野デザイン研究室がディレクション、デザインを担当されており、今回はその流れを受けて既存店舗のイメージを一新するような空間への改修を依頼されたものです。

平成の大改修京都清水寺のふもとにある産寧坂は、石段の道と京町家が一体となって優れた歴史的景観を有する伝統建造物群保存地区です。清水寺は現在「平成の大修理」の最中であり、数年間その全貌を見ることが出来ないほどの大工事が進行中です。規模は全く比較にならないが、それにちなんで店の歴史に残る事業として今回のプロジェクトを「平成の大改修」と題しました。
色と素材産寧坂の石段のイメージを店舗に引き込む為に、表から内部にかけて石畳の床として街並みとの連続感を持たせています。正面では、フロントディスプレイとして吊した鮮やかな赤色の唐辛子1800本が出迎えます。内装は新たなロゴマークにも用いられている赤色系統を基調として、伝統的な左官材料の京錆土、手加工による銅板ウロコ葺き壁面、飴色のモザイクタイルで包んだ七味調合台、伝統的な寺社仏閣でも用いられる亀甲模様の銅製の網などを什器の扉に用いています。木部分は主に赤系の松材を用いました。七味唐辛子のイメージと伝統的な街並みに合わせて素材の調和、統一感と賑わいの演出を図っています。また、主役である商品はアクセントカラーとして店舗空間の中に浮かび上がらせるように考えています。
魅力をつくる改装前の店舗から引き継がれた「世界一辛い」と毛筆体で書かれた(ベタな)垂れ幕は、楽しい体験として辛さへの挑戦を誘うことと、親しみやすさを醸すためにあえて残しています。また、玄関上部の庇に鎮座する「唐辛子を持った鍾馗さん」は気づく人は少ないかもしれないが、地元の鬼師(瓦職人)に製作を依頼して新たな外観のチャームポイントをつくる為に設置したものです。





所在地 / 京都市東山区
主要用途 / 店舗
規模 / 地上2階
工事種別/内装 全面改装
設計 / A.C.E. 波多野一級建築士事務所
アートディレクション/京都工芸繊維大学 中野デザイン研究室
グラフィックデザイン/ポーラーデザイン 畔柳 尭史
施工 / 大容工務店
写真 / 沼田俊之